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猫に夢中になってランニングの概念が崩壊した話

昨日の朝、5時くらいにランニングに出かけた。

 最近は昼夜が逆転裁判しているので、本来なら朝5時のランニングというのは早起きをしてやるのだろうが、私の場合夜更かしをしてしている。実際コンデションとしては最悪ではあるが、私はこの頃変態性が増してきているので、疲れた体に鞭打つ行為が快感になってきているのだと思う。友達にそんな話をしたら、自分も一緒に走りたいと言った。彼もまた変態的性格を持ち合わせているので納得だった。

 

そんなわけで朝5時に集合して走ることにした。家から2キロと少しのところに城があるのでそこまで行って帰ってこようということになった。そうやって走り出したはいいのだが、やはり体調はよくないので少し走ると脇腹は痛くなるし、コンクリートの道を走るのは老体には応えるものがあった。城まで走った時点で体力的にも肉体的にも疲労はピークに達しており、まさに満身創痍のロックンローラーといった感じだった。

 

城のある敷地内はこの時間でもはいれるところがあったので、休憩がてら少しはいって歩いてみることにした。城には何度か来たことがあったし、敷地内にこれといって珍しいものもなかったが、城はでかいし敷地は広いしで、「さすがだな」と思った。でも無駄にだだっ広くて何もない場所があったので、土地はもっと有効利用してポケモンセンターでも建ててくれないかな、とも思った。

 

そんなことを考えつつ歩いていると、どこからともなく「ニャ~」という鳴き声が聞こえてきた。私は「猫ひろしでもいるのかな?」と思ったり思わなかったりしたが、猫ひろしは名前に「猫」とついているけれど本当は人間なので「違うか」と思った。そうすると急に草陰から猫が飛び出してきた。種類などは詳しくないのでわからなかったが白っぽい感じの色の猫だった。私は知的な大学生であるので、猫を見た瞬間、「猫はネコ科の動物だな」、「猫かわいい」、「猫ひろしって今どうしてるんだろう?」、「猫かわいい」などと考えた。

 

その猫は特に私たちを警戒しているという風にも見えなかったのだが、しきりに鳴き声を上げ続けているので、もしかしたらほかにも猫がいるかもしれないと思っていると、案の定別の猫の鳴き声が聞こえてきた。周りを探してみると、先ほどの猫より一回り小さい子猫らしき猫と、こちらは普通の大きさの黒猫が見つかった。子猫は白っぽかったり黒っぽかったりする感じの色をしていて、3匹は何となく家族っぽかったので、私たちは最初の白い猫が母親、黒猫が父親、そしてその子供猫のファミリーという設定でしばらく観察していた。

 

観察をしているとなんだか猫たちの様子が少しおかしいことに気が付いた。母親猫だけが離れたところにいて、何度も鳴きながら子猫を呼んでいるように見えた。子猫も鳴き声を上げて反応はしているのだが、近づいたり離れたりを繰り返していて一向に距離が縮まらない。まるで離婚した夫婦のどちらについていくか迷っている子供のように父親と母親の間を右往左往している。このままでは夫婦がさらに揉めて非常に複雑な問題に発展しかねないので、私はネゴシエーターとして猫ひろしを召喚しようとも思ったが、猫たちには猫たちの事情があるので、通りすがりの自分たちが首を突っ込むべきではないと察して手を引いた。

 

そうこうしているうちにあたりはすっかり明るくなってきていた。時計を見るとちょうど日の出の時間をすぎたころで、どうやら30分近くも猫と戯れていたらしい。さすがにそろそろ腹も減ってきたし帰ることにした。猫との戯れによって我々の変態性は基準値に戻っていたのだろうか、すっかり走る気力は失われ、代わりに己の身体に対する労りの気持ちで満ち溢れていた。

 

目の輝きを取り戻した私たちは曙光に照らせれながら生まれ変わったような気分で、歩いて家まで帰った。家についたころにはもう6時を回っていて、息をつきながら今日は13時からバイトがあることを思い出し、今度はため息をつく。こうして先ほど取り戻されたばかりであるはずの私の目の輝きは、みるみるうちに失われていくのであった。このぶんだとまた近いうちに走りに行くことになりそうなので、次回は一家団欒を取り戻した家族に会えることを願いたい。